あらすじ
受験の日、嵩は高知第一高等学校の試験会場の前で受験票を探していた。
するとのぶが走ってきて、嵩に受験票とアンパンを届け走り去った。
のぶは去り際に嵩に「こんな大事なもん忘れるなんて、嵩ボケー」と叫んだ。
のぶは嵩に受験票を届けた後、急いで女子師範学校の試験会場へ向かった。
のぶはギリギリで試験に間に合った。女子師範学校の建物はとても立派だった。
いよいよ女子師範学校の試験が始まった。女子師範学校の試験はとても厳しいものだった。
女子師範学校の受験科目は数学、国語、歴史、地理、理科。
小学校の先生になるために必要な音楽、習字、図画、裁縫。のぶにとって一番の難関は裁縫でした。そして体操。最後は面接試験がありました。
朝田家では朝田家の人々が仕事をしながら、のぶの試験の出来を心配していた。
すると試験を終えたのぶが帰って来た。のぶは元気がなかった。
のぶは面接試験の質問に上手く答えることができなかった。きっと駄目だろうと落ち込んでいた。
朝田家の人々は「おかえりなさい。ご苦労さんやったね」とのぶを明るく迎えた。
そこへ試験を終えた嵩がやってきた。
嵩はのぶに受験票を届けてくれた礼を言うために、試験の帰りに朝田家に立ち寄ったのだ。
のぶは嵩に「試験どうやった」と尋ねた。
嵩はのぶに「おかげで頑張れたよ。苦手な数学もなんとか」と答えた。
のぶは嵩に「うちはきっと駄目や。面接でもえらい失敗してしもうた」と話した。
嵩はのぶを「まだ分からないよ。合格発表まで希望を捨てずにいようよ」と元気づけた。
その日の夜、柳井家では夕食に赤飯が出た。
赤飯は千代子と登美子が嵩の合格の前祝いにと用意したものだった。
寛は「赤飯は気が早すぎるやろ。まだ受かったわけやないのに」と千代子をたしなめた。
登美子は寛に「嵩のこと、これからもご指導お願いします」と頭を下げた。
千代子と登美子はすっかり嵩が高知第一高等学校に合格したものと思い込んでいた。
夕食の後、嵩は自室で一人で試験の結果について考えていた。
そこへ寛が「入るぞ」と嵩の部屋に入ってきた。嵩は慌てて正座をし改まった。
寛は嵩に「今日で一区切りや。今、一番何がしたい」と尋ねた。
嵩は少し考えた後「漫画です」と答えた。寛は嵩に「やっぱり漫画か。部屋にあんなにあった漫画はどこいった」と尋ねた。嵩は受験勉強に集中するために押し入れに片づけていた漫画本を出してきた。
嵩は寛に「おじさんも小学生じゃあるまいしって呆れますか」と尋ねた。
寛は嵩に「まあ、今日ぐらい好きにしたらええ」と嵩の肩を叩き、部屋を出て行った。
寛が部屋から出て行った後、嵩は一人で久しぶりに漫画を描いた。
寛の言葉に背中を押され、筆が進んだ。嵩がふと振り返ると、登美子が後ろから嵩の描く漫画を覗き見ていた。
嵩は登美子が部屋に入ってきたことに気が付かないほど、久しぶりに描く漫画に集中していた。
驚く嵩に、登美子は「漫画描いてたの」と声を掛けた。
嵩は「はい」と気まずそうに答えた。登美子は話した「いいんじゃない今日ぐらいは。高知第一高等学校に入ったらまた大変な日々が始まるんですもの」と話した。
いつもは漫画を描くことに反対している登美子も、試験を終えた嵩には優しかった。登美子は嵩を「次は医学部受験に向けて頑張らなきゃ」と励ました。
いよいよのぶと嵩の合格発表の日がやってきました。
のぶと嵩はそれぞれ試験会場に合格発表の掲示を見に行った。
合格発表の掲示の前は受験生たちで賑わっていた。
のぶと嵩はそれぞれ試験会場で自分の番号を探した。のぶは合格していた。
合格発表の掲示を見た帰り、のぶは御免与町の駅舎で嵩の帰りを待っていた。
そこへ千尋が現れた。千尋は御免与町の駅舎まで嵩を迎えに来たのだ。
千尋はのぶを見つけ「のぶさんも今日発表やないですか」と声を掛けた。
のぶは千尋に「おかげさまで合格した。
うちが受かったがやけ、嵩も必ず受かっちゅう思うて待ちよったがやけど」と話した。千尋はのぶに「おめでとうございます」と伝えた。
のぶと千尋が御免与町の駅舎で話していると、嵩が駅の改札口から出てきた。
のぶと千尋は嵩に声を掛けたが、嵩は元気がない様子だ。
嵩はのぶに「駄目だったよ。走って受験票持ってきてくれたのにごめん」と謝った。
【感想と考察】
のぶは合格しましが、嵩は不合格でした。
これを機会に嵩は漫画家を目指すのだろうかと思いました。次回が気になりました。
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