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あらすじ
嵩は登美子と共に寛の家に戻った。
八年間音沙汰がなかった登美子が突然帰って来たので、寛夫婦と千尋は驚いた。
登美子は寛夫婦に「こちらに置いていただけないでしょうか」と頼んだ。
登美子は寛の家に置いてもらえることになった。
ある日、登美子は寛の妻・千代子と女中のしんにお茶をふるまった。
千代子はお茶を飲んだ後、登美子に「いつまでいらっしゃるがですか」と尋ねた。
千代子は子供たちを捨てて出て行った登美子が戻ってきたことに納得がいっていなかった。
登美子は「女が一人で生きていくのは大変なんです。それに私は嵩のことが心配なんです」と答えた。
嵩が自室で漫画本を読んでいると、突然登美子が部屋に入って来た。
登美子は嵩に「ちゃんと勉強してる」と声を掛けた。
嵩はあわてて漫画本を隠し、勉強しているふりをした。
嵩は登美子に「千尋はすごいです。勉強も柔道も頑張っていて」と千尋に嫉妬していることを話した
。登美子は嵩を「あなたもやればできるわよ」と励ました
。そして登美子は嵩の漫画が掲載された新聞を見つけ、「すごいじゃない。すごく面白い」と嵩の漫画を褒めた。
嵩は登美子に褒められて嬉しかった。
その頃、のぶは御免与町の人々が噂するのを聞いて嵩の母・登美子が戻って来たことを知った。
のぶは嵩のことが心配になった。
御免与町でアンパンを売り歩いた帰り道、のぶはいつものシーソーのある空き地で千尋が一人考え込んでいるのを見つけた。
のぶが千尋に声を掛けると、千尋は「なんか家にいずろうて」と話した。
のぶは千尋に「千尋くんはお母さんの事どう思うちゅうが」と尋ねた。
千尋はのぶに「兄貴みたいには喜べん。面と向こうたら、ひどいことを言うてしまいそうやき」と母への思いを打ち明けた。
嵩と登美子は二人で御免与町の町中を歩いた。
そして和菓子屋の前に二人で腰掛け、和菓子を食べた。
和菓子を食べながら、登美子は嵩に「嵩は怒らないのね」と投げかけた。
嵩は「人生は色々あるから」と答えた。
登美子が「あら、一人前なこと言って」と茶化すと、嵩は照れくさそうにした。
登美子が「母さんあの家で肩身が狭いのよ。千尋もそっけないし」と打ち明けた。
嵩は「気にせずいればいいじゃないか。ずっといればいいよ」と登美子を元気づけた。
嵩と登美子が和菓子屋の前に腰掛け話していると、突然のぶが現れた。
嵩はのぶに「のぶちゃん。どうしたの」と尋ねた。のぶは登美子に長年の思いを伝えた。
のぶは登美子に「嵩のお母さんに聞いてほしいことがあります。
嵩はお母さんと別れた日から、八年間ずっとお母さんからの連絡を待っていた。
それやのにあなたは頼り一つよこさんかった。今頃何しに戻ってきたがね。
これ以上嵩を傷つけるのはやめちゃってください」と訴えた。
嵩は「もうやめてくれ」とのぶの話をさえぎった。
そして嵩はのぶに「のぶちゃんは母親に捨てられた事ないだろ。それでも会いたかった。
ずっとこの人に会いたかった。
のぶちゃんに何が分かるんだよ」と思いを話した。のぶは悲しみながらその場を立ち去った。
ある日、寛の家で登美子を加えた家族が揃って食卓を囲んでいた。
千尋は寛に「お父さん、お話があります」と改まって話し始めた。
千尋は寛に「わしは医学ではのうて法学を学ぶことにしました。
将来は医院を継がず、法律家になります。
貧しい子供や社会で虐げられた女性を法の力ですくいたいがです」と話した。
寛は千尋に「どういて急に」と尋ねた。
千尋は寛に「世間の重しを跳ね返して我が道を行く人を見て、わしもああ生きよう、そういう人の力になろうと思うたがです」と説明した。
嵩にはそれがのぶのことだと分かった。
寛の妻・千代子は「この医院はどうなるがですか。私は納得できません」と困惑した。
すると登美子が千代子に「ご心配なく。いざという時には、千尋さんの代わりに嵩が医者になりますから」と話した。
母の期待に嵩は答えられるのでしょうか。
感想・考察
のぶは嵩と千尋のことを心配し、とても優しいと思いました。
嵩が母の期待に答えられるのかどうか心配です。
なぜいきなり登美子は帰って来たのでしょうか?
離縁した理由も気になりますね!
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