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あらすじ
商事会社に勤めるのぶの父・結太郎が出張のため一か月、家を空けることになった。
出発は数日後だった。
のぶと嵩は学校までの道を一緒に歩いた。
嵩は「母さんいつ帰ってくるのかな」と、まだ母の登美子が帰ってくると信じているようだった。
のぶは「お父ちゃんがひと月出張に行くだけでこんなに寂しいのに、嵩はどうやってしまうがや」と心配になった。
のぶは学校の昼休み、嵩がいつも一人で弁当を食べて、
悪ガキたちにからかわれているのが気になっていた。
のぶは「今日からうちも嵩と一緒に食べる。うちが嵩を守っちゃる」と嵩を元気づけた。
その日の学校の昼休み、のぶと嵩が一緒に弁当を食べていると悪ガキたちが嵩をからかいにきた。
悪ガキたちは「嵩は弱虫」と言い、嵩をからかった。
我慢ならなくなったのぶは、悪ガキ三人を相手に一人で喧嘩をしかけ勝ってしまった。
ところが悪ガキの一人に怪我をさせてしまった。
のぶとのぶの母は学校が終わった後、怪我をした悪ガキの家に謝りに行った。
のぶは「怪我をさせたのは謝るが、弱い者いじめするのが悪い」
と全面的に謝ることに納得がいかなかった。大人たちは「乱暴はいかん」とのぶに言い聞かせた。
次の日、学校で嵩はのぶに「もう僕を守るのはやめてほしい。女の子に守られたらよけい惨めになる」と言った。
結太郎が出張に出掛ける日がやって来た。
のぶと二人の妹は玄関先で結太郎を見送った。
結太郎は娘たちに「自分を曲げんとまっすぐ大きくなれ。
おなごも遠慮せんと大志を抱きや」と言った。のぶは結太郎を御免与駅まで見送りに行った。
駅舎で汽車を待つ間、のぶと結太郎はベンチに腰掛け話をした。
「うちの夢ってなんやろ」と言うのぶに、結太郎は「夢が見つかったら思いっきり走ったらええ」と教えた。
のぶはそんな父が世界一大好きだった。
間もなくして汽車が到着した。結太郎は別れ際にかぶっていたソフト帽をのぶの頭にかぶせた。
のぶは「いってらっしゃい」と手を振って見送った。
一か月後のある晩、柳井医院の電話のベルが鳴り響いた。
電話をとった寛は、話すうちに深刻な表情になった。
寛はすぐにのぶの家に行き、朝田家の人々に結太郎が亡くなったことを伝えた。
結太郎は出張から帰る途中の船の中で病死した。突然の訃報に接し、朝田家の人々は呆然とした。
感想・考察
のぶの父・結太郎が突然亡くなったので驚きました。
結太郎の「おなごも遠慮せんと大志を抱きや」という言葉は、
のぶが主人公のこの作品を象徴する言葉だと思います。
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